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【概要】

平和不動産リート投資法人(8966)の第37期決算は賃貸ベースEPUが前期比+150円。新規物件取得、既存物件の高い稼働率と賃料増額改定、および金利費用削減が収益拡大を牽引

◎決算ハイライト
・営業収益は65.8億円(前期比+2.6億円)、営業利益は32.0億円(+2.3億円)
・1口当たり分配金(DPU)は、2,550円 (前期比+50円)
・賃料収入の増加と合わせてHF麻布十番レジデンスの譲渡益331百万円(前期比+129百万円)が 営業利益を+238百万円増加させる要因となった
・賃貸ベースEPUは前期比+150円。新規物件取得、既存物件の高い稼働率と賃料増額改定、および金利費用削減が収益拡大を牽引
・譲渡益の一部は分配金に充当し、残額を繰越欠損金等の活用によって内部留保。本決算期及び将来における分配金の安定化・拡大に活用の方針
▽外部成長
・資産入替の推進:スポンサー開発案件であるHF正光寺赤羽レジデンスを含めたレジデンス3物件の新規取得と資産入替を実施。HF麻布十番レジデンスの譲渡によって含み益を上回る実現益を獲得するとともに、スポンサーの拠点である兜町エリアに位置する兜町ユニ・スクエアの取得によって新たな含み益を獲得。スポンサー変更後の取得物件数は39、譲渡物件数は21
・含み益率が過去最高を更新:適切なタイミングでの資産入替および既存物件の鑑定評価額の上昇により、1口当たりNAVが拡大し、12期連続でスポンサー変更後の最高値を更新。スポンサー変更後の1口当たりNAVは+44.4%と大幅に成長
▽内部成長
・稼働率:オフィスの期中平均稼働率が99.70%と過去最高値を更新。レジデンスの稼働率は4月以降に新型コロナ感染症の影響を受けたものの、3月末稼働率は97.94%と過去最高水準を更新
・NOI利回り:稼働率の高位安定、賃料改定の進展および物件売買が重なったことなどから営業収益は拡大し、NOI利回りは過去最高水準を更新。また、市場環境の改善を受けて、賃料ギャップが拡大
▽財務運営
・資金調達コストの低下:良好な金融環境を背景に借入金利が低下し、資金調達コストは過去最低水準を更新
・鑑定評価額の向上:新型コロナの影響は比較的商業色の強い1物件にとどまった。全体としては資産入替および既存ポートフォリオのキャッシュフロー改善によって評価額が増加、含み益額が増加
・内部留保の拡充:譲渡益の一部を内部留保することで将来の分配金支払原資を拡充。これにより分配金水準の維持・向上の確実性がより高まった
▽新型コロナウイルス感染症による影響
オフィス – 賃貸事業利益への影響は軽微
・稼働率:影響は見られない。過去の平均水準を上回る稼働率を維持。解約届等の状況を見る限り、当面稼働面での心配はない
・賃料減額要請:一部の商業テナント、旅行代理店系列のオフィステナントなどから賃料減免要請を受ける。コロナの影響を強く受けたテナントに対しては、敷金からの賃料充当や賃料減免等で運営に協力する方針。テナントが受けた影響額の把握、値下げ額の協議などテナントとのコミュニケーションは丁寧にとっていく
・賃料増額改定の見通し:新規の増額改定交渉は行っていないが、第38-39期においては、既に契約締結済で発効前のもの、及び第37期に一部寄与していなかったものの全額寄与が見込まれる
レジデンス – 法人需要に遅れが見られるが賃料増額改定は加速
・稼働率:第37期初の12月から3月末にかけての稼働は過去最高を上回る水準で推移。しかし、4月以降については退去数が例年並みの水準となる一方で、入居数が減少したことから稼働率が低下。特に法人需要の遅れが鮮明。この動きは6月の終盤あたりから回復傾向がみられること、追加的なリーシング施策等を打ち出すことで2021年の繁忙期にかけての回復を見込む
・賃料減額要請:影響は見られない
・賃料増額改定の見通し:例年を上回る水準での改定が実施できており、契約賃料水準は継続的な増加が予想される

◎第38期(2020年11月期)・第39期(2021年5月期)運用状況の予想
・第38期の営業収益は70.9億円(前期比+5.1億円)、営業利益は37.0億円(+4.9億円)、1口当たり分配金(DPU)は2,650円 (+100円)を予想
・第39期の営業収益は62.5億円(前期予想比-8.3憶円)、営業利益は28.6億円(-8.4億円)、1口当たり分配金(DPU)は2,650円 (前期比変わらず)を予想
・新型コロナの影響を織り込んだうえで継続的な収支改善を見込む。第37期および第38期の1口当たり予想分配金は第36期比+100円の2,650円を予想
・外部成長:第38期に物件譲渡に伴う減収を見込むが、第37期に取得した4物件の通期寄与と資産譲渡益見込み(878百万円)が営業収益の増加要因
・内部成長:新型コロナの影響を加味してオフィスの賃料増額改定は既決のもの以外見込まず、レジデンスは稼働率を保守的に設定
・財務戦略:金利の高い借入金の満期が到来。良好な金融環境のもと、リファイナンスとともに金利費用の低減を見込む

◎新たな中期目標分配金
・中期目標分配金2,750円
・内部成長、費用削減、外部成長が成長の柱
・成長余力を確実に取り込んだ、EPUと分配金の着実な成長
・資産入替を通じた収益力強化とともに、実現益を通じた内部留保の維持・拡充
・潤沢な内部留保を活用した積極的な投資主還元
<中期目標達成における新型コロナウイルス感染症の影響>
内部成長面では一定程度の影響を受けるものの、それらを補うだけの外部成長と金利低下の余地および自己投資口取得による効果が見込まれる
【内部成長】
オフィス:第36-37期に合意した賃料増額改定の未寄与分が約8.9百万円あることから第39期までの賃料増加は継続する予定。また依然として大きな賃料ギャップが残る
レジデンス:緊急事態宣言による法人需要の遅れが影響して稼働率は若干低下。しかし、このような動きに回復の兆しがみられることから、第39期中(2021年3月を想定)には従来の水準まで戻るものと予想。賃料面については、増額改定の進捗速度、礼金・更新料等の一時金取得割合およびフリーレント付与率等はコロナ前と変わらず良好な水準を維持しているため、稼働率の低迷の影響は受けるものの、安定した収益を見込むことができる
【費用削減】
金利低下余地はコロナウイルス感染症拡大前の実績を基に見込む
【外部成長】
従来、外部成長による分配金寄与の見通しには未取得物件の取得効果を含んでおらず、上記の24円は取得済み物件かつ未寄与期間分のみを計上したもの。第37期に取得した4物件の収益が第37期から第40期(竣工同時取得の物件があるため)にかけて段階的に寄与すること、パイプライン物件数が増加していることから外部成長の寄与余地は拡大。新規物件取得とともに追加的な分配金寄与が見込まれる
【自己投資口の取得】
2020年7月15日以降に実施の自己投資口の取得の影響は織り込んでいない

◎サスティナビリティ – Sustainability, COVID-19
・GRESB評価への参加
・日本経済新聞への掲載
<新型コロナウィルス感染症対策>
・レジデンス物件では、各物件のエレベーターホールに「新型コロナウイルスを防ぐには」を掲示。入居者に対する注意喚起と、感染疑い時の問い合わせ先等についての情報提供を実施
・オフィス・レジデンス全ての物件の共用部清掃に除菌作業を取り入れ、オフィスのエントランスにはアルコール消毒液を設置
・新型コロナ感染症の拡大と緊急事態宣言の発出を受けて、働き方改革を実施。在宅勤務、時差出勤及び時短勤務を導入
・リモートワークシステムを導入し、感染リスクの高い時間帯の移動、出社、社外業務を避けるための徹底した取り組みを推進。WithコロナからAfterコロナに向けて新たな働き方へと移行を推進

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