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【概要】

平和不動産リート投資法人(8966)の第39期決算は物件譲渡益の減少が減収要因となったが、物件運営に係る収支は改善を見せ分配金は当初予想通り2,800円/口、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的

◎決算ハイライト
・営業収益は67.3億円(前期比-3.4億円)、営業利益は33.0億円(-3.6億円)
・1口当たり分配金は、2,800円 (前期比+120円)、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的
・物件譲渡益の減少(前期比 - 485百万円)が減収要因となったが、物件運営に係る収支は改善を見せ、分配金は当初予想通り2,800円/口とした
・新規物件取得および金利費用削減もEPUの増加に寄与
・新型コロナ禍によるレジデンスの稼働率低下は前期で一段落。本決算期は新型コロナ前の水準を回復し、リーシング施策費も減少したことから収益回復に寄与
▽外部成長
・資産の入替:HF高輪レジデンスを譲渡、4.04億円の譲渡益を得る。その一方で、東菱ビルディングを取得したことで、翌期以降の収益向上を見込む
・公募増資:第40期初払込を目指した公募増資の取り組みを推進。総額86.9億円のエクイティ調達を実施し、物件取得資金に充当。公募増資後の資産規模は1,929億円に拡大
▽内部成長
・稼働率:オフィスの期中平均稼働率は98.8%、期末にかけて稼働水準を切り上げ翌期に臨む。レジデンスは、前期落ち込んだ法人需要に回復傾向が見られたこと、繁忙期を迎えたことで期中平均稼働率は96.7%と新型コロナ禍前の水準を回復
・NOI利回り:新型コロナ禍により低下していたレジデンスの需要に回復が見られたこと、資産入替と新規物件取得が寄与したことで、NOI利回りは前期の5.32%から改善
▽財務運営
・資金調達コストの低下:良好な金融環境を背景に借入金利が低下。調達期間が長期化する一方で、資金調達コストは過去最低水準を更新
・健全な財務体質:フリーキャッシュ70億円、コミットメントライン70億円、内部留保54億円と不足の事態に十分対応可能な残高を有する。鑑定LTVは前期よりさらに低下したことで、借入余力も拡大。格付は第40期初(2021年6月)にA+(ポジティブ)となり、格付見通しが改善された
▽投資主価値
・分配金の向上:堅調なポートフォリオ運営と資産入替に伴う譲渡益を裏付けとして分配金は前期比+120円の2,800円に。2020年1月に掲げた中期目標を1年半の前倒しで達成
・内部留保:譲渡益の一部を内部留保することで分配金支払原資を拡充。将来の分配金水準の維持・向上の蓋然性が向上
・NAV:コロナ禍ではありながらも堅実なキャッシュフロー創出とCapレート低下を受けて鑑定評価額が増加。NAVは過去最高を更新
▽新型コロナウイルス感染症による影響
オフィス
・稼働率:影響は見られない。過去の平均水準を上回る稼働率を維持
・賃料減額要請:一部の飲食テナントと旅行代理店系列のテナント等から賃料減免要請を受ける。新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けたテナントに対しては、敷金からの賃料充当や賃料減免等で運営に協力する方針。テナントが受けた影響額の把握、値下げ額の協議などテナントとのコミュニケーションは丁寧にとっていく。首都圏における緊急事態宣言も4度目となるが、その影響が強く懸念される飲食店舗テナントは7件と限られており、収益インパクトは限定的
・賃料増額改定の見通し:本決算期間中には2度の緊急事態宣言が発出されたことから既存テナントとの賃料改定金額は小幅な伸びに留まったものの、改定率は新型コロナ禍前の水準を維持。交渉のペースは従来に比べると緩やかではあるが、着実に賃料ギャップを回収。ポートフォリオの賃料ギャップも拡大しており、賃料増額の余地は十分に残っていると思われる
レジデンス
・稼働率:昨年落ち込んだ法人の需要も回復。人事異動を背景とした3-4月のテナントの動きもコロナ前の水準を回復。局所的には戻りの弱いエリアも見られるが、全国的には堅調な需要の回復が見られる
・賃料減額要請:新型コロナウイルス感染症の影響は見られない
・賃料増額改定の見通し:更新時の賃料改定は新型コロナウイルス感染症の影響は受けていない。新規賃料は、一部に稼働率の戻りが弱いエリアもあることから一部の物件で募集賃料の引き下げを実施しているものの、ポートフォリオ平均としては退去前の水準を維持

◎第40期(2021年11月期)・第41期(2022年5月期)運用状況の予想
・第40期の営業収益は66.3億円(前期比-0.9億円)、営業利益は30.8億円(-2.2億円)、1口当たり分配金は2,850円 (+50円)を予想
・第41期の営業収益は67.0億円(前期予想比+0.7億円)、営業利益は31.5億円(+0.6億円)、1口当たり分配金は2,850円 (前期比変わらず)を予想
・公募増資を実施 – 新規取得物件の収益寄与を見込み、1口当たり分配金は第39期比+50円の2,850円を予想
・外部成長:新規物件取得が増収寄与するものの、物件譲渡益の減少(前期比-404百万円)が利益減少の要因
・内部成長:HF仙台本町レジデンスのリースアップは予定通り完了。新たに取得した新築2物件については8月末までのリースアップを見込む
・財務戦略:本決算期末のリファイナンスによる借入コスト削減が第40期以降に寄与。公募増資に伴う借入金額増加の費用を吸収して営業外費用は低下

◎サスティナビリティ – 再生可能エネルギー
・本投資法人は保有する全ての物件で使用する電力を、再生可能エネルギー由来のものに切り替えます。RE100の基準に準拠した電力プランを中心に、2021年7月20日現在で対象100物件中22物件の契約を終えており、 2021年11月までの完了を目指します
・GRESB評価への参加
・2020年3月にサステナビリティ推進規則を制定し、4月に委員会を開催しました。本委員会においては本投資法人における重要課題の抽出と特定を行いました
STEP1:課題の抽出
STEP2:優先順位付けと課題案の絞り込み
STEP3:サステナビリティ推進委員会での議論、妥当性の確認及び承認
・グリーンリース契約の推進–Environment
・化石燃料の使用量削減:LED化推進–Environment
・環境にやさしい取り組み –FSC紙とグラシン紙–Environment
・環境認証の取得–Environment
・地域社会への参画– Social
・地域飲食業界支援– Social
・ダイバーシティの推進– Social
・従業員に対する取り組み– Social
・コーポレートガバナンス– Governance
・投資主本位の業務運営に関する方針– Governance
・三層構造のセイムボート出資– Governance
・資産運用報酬体系の変更– Governance

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