【概要】
平和不動産リート投資法人(8966)の第43期決算はオフィス・レジデンスの稼働率、賃料増額改定が堅調に推移し、既存物件の賃貸事業利益は増加。1口当たり分配金は15期連続の増配となる3,160円
◎決算ハイライト
・営業収益は80.4億円(前期比+2.1億円)、営業利益は40.1億円(-0.02億円)
・1口当たり分配金は15期連続の増配となる3,160円。譲渡益の計上により内部留保は増加
・オフィス・レジデンスの稼働率、賃料増額改定が堅調に推移し、既存物件の賃貸事業利益は増加
・前期取得物件の固都税費用化、外部成長に伴う販管費の増加により当期純利益は微減となるも、継続的な資産入替による譲渡益の計上により、一口当たり分配金は前期比+30円の3,160円とし、新たに83百万円の内部留保繰入を見込む
◎第44期（2023年11月期）・第45期（2024年5月期）運用状況の予想
・第44期の営業収益は82.6億円(前期比+2.1億円)、営業利益は41.2億円(+1.1億円)、1口当たり分配金は3,180円(+20円) を予想
・第44期に公募増資を実施、資産入替に伴う譲渡益計上も見込む
・資産入替による譲渡益獲得が継続。第44期には、レジデンス1物件の譲渡により約6億円の譲渡益を計上
・ポートフォリオの高い平均稼働率は継続。97%を超える稼働率での推移を見込む
・第45期の営業収益は76.9億円(前期予想比-5.6億円)、営業利益は35.4億円(-5.7億円)、1口当たり分配金は3,200円(+20円)を予想
▽内部留保のコントロールと投資主還元
・継続的な資産入替により資産規模を拡大しつつ、ポートフォリオの質の向上と含み益の顕在化を実現
・12期連続の譲渡益計上により、潤沢な内部留保を確保。本決算期末の内部留保残高は55億円まで拡大し、長期にわたる安定した分配金原資を確保
・内部留保拡大余地は61.8億円を残す
◎NEXT VISION
投資口の流動性向上を推進するステージ
▽目標
・分配金：3,300円
・資産規模：3,000億円
・格付け：AA-（目標達成済）
・再生可能エネルギー電力への移行：100％（目標達成済）
▽NEXT VISION の達成に向けて
＜外部成長＞
・着実かつ健全な外部成長
・継続的な入替戦略の実施
・投資機会の拡大・中長期で競争力を有するポートフォリオの構築
＜内部成長＞
・高稼働率の維持・向上
・賃料増額に向けた取り組み
・戦略的な資本投下
・付帯収入増加と費用削減
＜財務運営＞
・財務基盤の強化
・LTVのコントロール
・資金調達手段の多様化
・金融コストの低減
＜投資主還元＞
・潤沢な内部留保の還元
・フリーキャッシュの活用
・流動性向上
・含み益の顕在化
＜ESG＞
・Environment(環境活動)
・Social（社会貢献）
・Governance（企業統治）
◎運用状況
▽ポートフォリオの状況
・戦略的な資産入替、内部成長、鑑定評価額の上昇を受け、ポートフォリオの質は大幅に改善
▽外部成長
・第44期期初に3年連続となる公募増資を実施
・公募増資及び借入余力活用による持続的な外部成長サイクルの実践
・資産運用会社の独自ルート及びスポンサーパイプラインの活用により外部成長が進展
・第44期初の公募増資によりスポンサーである平和不動産の販売用不動産のうちオフィス2物件を取得
・普通借地権を活用したパイプラインの構築
・スポンサーとの協働により、借地権のデメリットを克服。併せて借地権本来のメリットを最大限に享受できるスキームを構築
▽内部成長
＜オフィス＞
・期中平均稼働率は99.1%。空室期間はコロナ禍以降で最短へ
・賃料改定は新規、更新ともに増額改定を達成。賃料ギャップは引き続き高い水準が継続
・賃料ギャップを有する物件の取得後、早期に賃料増額を実現
＜レジデンス＞
・期中平均稼働率は97.1%と2期連続して97％を超過
・新規及び更新時合計での増額改定が3期連続して継続
＜リノベーション工事＞
・リノベーション工事による物件競争力強化と資産価値の維持向上
＜含み損益の推移＞
・含み益額が増加、キャップレートはレジデンスを中心に引き続き低下
▽財務
・調達期間の長期化と公募増資によるLTVコントロールが進展
▽サスティナビリティ- Environment
・ESGウェブサイトの拡充・ESGレポートの作成
・GRESB評価において初の3スター取得
・独立第三者の保証報告書取得
・再生可能エネルギーへの切り替え
・壁面緑化の推進
・TCFDシナリオ分析の実施
・環境にやさしい取り組み –FSC紙とグラシン紙
・環境認証の取得 – 本決算期末延床面積割合：23.9%
・目論見書電子化
・LED化の推進
・デジタルサイネージ設置
・災害救援・寄付型自動販売機の設置
・ペットボトルキャップ回収運動
